まあ子のゆる日記

中華圏を中心に旅行、ドラマ・映画、語学学習にゆるりと身を投ずる日々。

中国の歴史を感じる映画「活着」を見て

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激動の時代を生きた家族の物語「活着」

以前から気になっていた「生きる」という映画。映画のタイトル部分を見るだけでも名作の雰囲気を感じさせる情緒あるタイトル写真。今から30年近く前、1994年に放映された映画で、中国映画監督として有名な张艺谋監督による映画だ。タイトルからして重そうな映画だと身構えがちだが、内容はやはり少し重い。(重いんかーい)

安定感のある俳優陣

主役の葛优が演じる「福贵」と巩俐が演じる「家珍」の安定の演技力で引き込まれる。このペアは「さらば、わが愛」(霸王别姬:1993年放映)にも出演しており、それぞれ雰囲気の違う役柄だが、今回もとても素敵だった。巩俐がやはり美しく、疲れているような姿ですら魅力的で引き込まれる。優しいお母さん役も素敵だった。関係ないけれど、若い好青年だなと思ったら、姜文も出演しておりすごい大御所の集まりだななんて思っていた。

作中のご飯が魅力的(いきなり話逸れる←)

いきなり作品の内容から話がそれるが、これを書きたくて仕方がなかった!作中のご飯がやはり美味しそう。日本が地理的に近く、中華料理が身近にあるということもあるのかなと思うが、作中に描かれているご飯がひたすら美味しそうなのだ。私が単純に食いしん坊(吃货)なだけかもしれないが...個人的にランキングを付けてみた。(笑)

  • 1位は大衆食堂で食べていた乾麺のような麺。唐辛子がしっかりかかって思わずよだれが垂れそうだった。
  • 2位は巩俐が作っていた20個の水餃子。弁当箱も銀色で味があって素敵だなと思った。
  • 3位は万喜が作って持ってきていたご飯の数々。これは正直あまり見えなかったけど一瞬開いた容器の中の様子が美味しそうだった。

全然関係ないが、有庆が父にしていたいたずらにお茶の中に酢と唐辛子を入れるというくだりがあった。見るからにどす黒い液体になっていたけれど、それを不思議がらずに飲んでいたのだから、中国にそのような飲み物があるのかはたまた暗くて見えなかっただけなのか真相はよく分からない。正直匂いで分かりそうなものだが...(笑)

時代の雰囲気を感じさせる映画

1940年、1950年、1960年代について時代の区切りを分かりやすく描いている。作中の途中にちゃんと今から何時代をするのか表示を出してくれるので親切だなと感じる。この激動の30年を対比して描いているのがすごく良く分かるのだが、前の時代で「良い」とされていたものや身分が高かった人達が次の時代では窮地に追い込まれたりする。「何が正しいのか」という安っぽい言葉では片づけられないけれども、「どうあるべきか」といったところに正解はないのだと思った。当たり前のことだけれども前の時代に当たり前だったことが当たり前とは限らない。ただそれども今この瞬間の幸せを喜び、ただ前を向いて生きる。そんな力強さと優しさを感じさせる映画だった。冒頭で重いという話をしたけれど、お腹いっぱいになるけれどまた見たいと思わせる映画だった。